「鷹勇」大谷酒造訪問記
2005年2月19日に鳥取県の琴浦町にある大谷酒造さんに行って参りました。
前日は兵庫県の湯村温泉に泊まり、そこから車で鳥取方面へ一時間ほど走ると、左手に有名な鳥取砂丘が。そこでちょっと 寄り道をしてから、鳥取を抜け、とりあえず琴浦町に近い、倉吉を目指しました。
やはり一時間ほどで倉吉に到着し、駅で近郊の地図をゲット。大体の道のりがわかったところで、琴浦方面に。20分程度 で蔵に無事たどり着くことが出来ました。


大谷酒造外観 この日は土曜日のため、事務所はお休みらしく、蔵はひっそりとしていました。
あいにく坂本俊杜氏が風邪をこじらせている、と大谷和正社長から伺い、「今日は会えないのかー・・・」と落胆していると、 その坂本杜氏がひょっこり、出てきてくれました。風邪をひいて大変なのに、わたしのためにどうもすみません・・・。

まず、蔵を案内して頂き、それから新酒の試飲とお話を伺うことに・・・。


酒母 蔵見学にはいろいろなところに何回もお伺いしていますが、タンクが大きいとか、 こういった機械は見たことないなー、とか蔵見学をしても大雑把なことしかわかりません。それでも、蔵に 伺うのは、どういった場所でどういった人達が酒を造っているのだろう、という気持ちからだけです。

想像通り、坂本俊杜氏は頑固ななかにも優しさがにじみ出たような方でしたし、それをサポートする蔵元の大谷和正 社長も全面的に坂本杜氏を信頼しきっているようでした。
そして感じたのは、この蔵の基本は、蒸米をきちんと締め(枯らし)てきちんと造り、機械のほうがきちんと管理できるところは 機械にまかせ、人の手でなければできないところは人の手で行う、ということでした。

蔵に伺う前から、お酒はどこで熟成しているのだろうか、ということが気になっていましたが、保存用の保冷室が見ただけでも 三箇所あり、大変なお金がかかているなあ、と思いました。だって、できたものを熟成させずに売ったほうが在庫も抱えず、 お金になりますよね!
一言で熟成と言いましてもお金がかかるんです。


利き酒 一通り、蔵を見てまわると、その後は新酒の試飲を。
銘柄は「強力の郷」「辛口純米」「特別純米」「純米吟醸中汲み」の新酒の生酒四種類。はじめて、できたての味を頂きました!
強力を使用した酒はできたては味がなく、だんだん味がのってくる酒だと聞いていましたが、まさにその通り!
火入れの寝かせた「強力の郷」とは全く違う、水のように軽い味でした。どうして、これがああいう味になるのか 本当にミラクル!「強力の郷」は熟成したほうが絶対美味しいと確信しました。

「辛口純米」も「特別純米」もどちらもきれいな味わいでしたが、生だとやっぱりのどにひっかるような・・・。でも、 このまま販売すれば売れる味でもあります。でもでも、やっぱり熟成した酒の味を知っていると、2,3年寝かせた酒 のほうが落ち着いて旨いと思いました。


坂本杜氏と大谷社長 利き酒を終えて、お二人からお話を伺うことに。
やはり、お二人とも生酒より火入れの熟成したお酒のほうがお好きだということでした。 坂本杜氏はいつもお燗で飲んでいるそうです。こちらでは普通酒が圧倒的に多くでているそうですが、そんな中、一般 の方にも純米酒を気軽に飲んでいただきたいという思いで、発売したのが「鷹匠」と「勇翔」だそう。
好適米を 使用して2000円に抑えるというのはかなり大変なはずですが、日本酒の消費量を上げたいという考えと、日本酒は 純米酒という考えが底辺にあるようで、そうだよねー、と感心してしまいました。普段飲んでいるお酒が美味しければ、 何かの時にはもうちょっといいものを、ということで上級品も売れるかもしれませんし。

どうして、キレのいい酒になるのかということですが、蒸米を本当によく乾燥させているそう。やはりよく締めたお米 というのは出来がちがうんですね。
いろいろお尋ねしたかったのですが、本人を前にするとなかなか普段疑問に思っていたことがでてこなく、名残惜しい 気持ちで今回は蔵を後にしたのでした。


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